以前勤めていた会社が潰れたァ!
個人的には終わったことや昔話を掘り返すのは好きではないが、今回は新卒で入社した会社のことを回顧してみる。
今年4月、官報データベースに以前勤めていた会社の解散登記が掲載されていた。
「ああ、やっぱり潰れたか」という安堵というか、読みどおりの展開になったなという感じだ。
後学のためというか、人生の中でも割と大きな決断でもある「会社をやめる」という選択をしたときのポイントを思い返してまとめておこう。
【企業規模】
・社員数十人の零細企業
・資本金数千万円
・創業10年未満(だったはず)
【待遇】
・給与は大卒初任給で20万円ちょい、零細にしては良かった。
・賞与は一か月分(零細なのでないようなもの)
・土日祝日休みと謳いながら、月1回は社員研修があった。(求人票と実情が違う)
【仕事の内容】
客先のオフィスを間借りして、客先が取ってきた仕事を手伝うというもの。まあいわゆる下請の下請けですね。日本を代表する大企業の工場やオフィスに行って、そこで働いている人たちを観察したり、業界の社風を肌で感じられたのは良かったかな。大企業は結局、軍隊と一緒なので社会不適合者の自分には合わないことがよくわかりました。
【ビジネスモデル】
下請けの下請けなので、自社の製品/サービスがないのが致命的だった。
結局、自分たちで飯を食う種が提供できない・作れないので客先の都合次第で仕事がなくなるという欠点があった。
当時は、自社でも受注できるよう取り組みを進めている最中だったが、いかんせん通常業務と同時並行でそんなことにチャレンジする時間も人員もなく時間だけが過ぎていくのを横目で見ていた。
【働き方】
「納期は死んでも間に合わせろ!」「月多い時で100時間ぐらい残業がある」というキチガイじみたパワーワードが飛び交う環境下、精神薬を飲みながらがんばる他社社員が突然デスクを叩いて「薬が足りない!!」と叫び休職になってしまうこともあった。
こういう光景を目の当たりにして、「薬漬けになってまで働く必要ってあるのかな?」「そこまで我慢して、企業に尽くして何かあるのかな?」という漠然とした疑問が生まれる。
■ふつうのおじさん
文字で書き起こしてみると頭おかしい人間が集まっている会社という印象を受けると思いますが、そこの会社で働いていた人はキチガイってわけでもなく、普段はふつうのおじさんなんですよ。
ふつうに家族をもって、ふつうに車買って、ふつうに家買って、毎朝5:30に起きて眠い目をこすりながら会社までやってきて、精神薬飲みながら会社のため、家族のため、生活のために残業しまくって働いていたわけです。
当時新卒ペーペーの私には、普通に暮らすためのハードルが高すぎるのか、この会社・業界が異常なのか判断がつかなかったが、ここで働き続けたらいつか病気になるし、会社に殺されるなと思った。
あとは、頑張りすぎたおじさんや、薬漬けおじさんが次々に休職していくのを目の当たりにして、「この人達と同じ働き方・同じお金の使い方をするといずれこういうパターンに陥ることになる・・」と肌で感じられたことは、今の生き方に大きく影響を与えている。
■会社をやめる
まあそんなこんなでこの会社に一生いるのは無理だなと早々に思い立ち、脱出する計画を立てた。
次のアクションを起こすにあたっては、次の5つの点を準備した。
・何にせよ金はいるので今の会社にいる間は貯金する
・人一倍体力がないので通勤時間はなるべく短くする
・自分の好きなこと・興味があることを続られる働き方をする
・会社にとらわれない生活・お金の稼ぎ方を模索する
・転職に際して何か履歴書に書けるものを勉強する
幸か不幸かわからないが、1年後には全社転勤の話が持ち上がり、明確なデッドラインが設定されたことでお尻に火がついた。お金を貯めつつ、必死こいて勉強+転職活動にチャレンジして無事泥舟から脱出できた。
■牧場で飼い殺しにされるか、荒野に飛び出すか
当時、同期入社の連中とは「この会社がやばいことは周知の事実だけど、このまま牧場(会社)に残って飼い殺しにされるより、(見つかるかわからないが)オアシスを目指して荒野に飛び出すほうを選ぶよ」という話を毎回していた気がする。
その後、「牧場に残って死ぬぐらいなら一回勝負してみよう」と決心し、私は荒野に飛び出す方を選び、牧場には残らなかった。
人生に「IF」はない。
牧場に残ってグダグダ言いながら社畜を続ける「IF」もあったが、結局は会社倒産という幕切れになってしまった。
未来のことは誰もわからないし、予測できない。
が、「自分がやりたいこと、チャレンジしたいことに向かってリスクを取ってアクションを起こす」という行動指針は忘れないようにしたい。